昨年、日本とタイの修好120周年をきっかけとして、
第2次世界大戦中にタイへ出征した経歴を持つ大井川鐵道のC56形蒸気機関車が、
タイ在籍当時の姿で復活した。
同機は1979年に帰還して以来国内仕様に戻された上で動態保存されていたが、
戦時中の酷使が災いして2003年に休車扱いとなっていたものである。
大井川鐵道では以前からいくつものSLを動態保存しているが、
ある程度の経営基盤は確立されているとは言え、
一ローカル鉄道の会社がSLを維持し続けるのは並大抵の苦労ではないはずだ。
あのJR東日本でさえも自前で保有しているのはわずかに2機ということからして、
その苦労がわかるだろう。
それに加えてSLを運行するにはいくつかの「幸福な条件」が必要だと思う。
まずSL自身の保存状態が良好であること。
静態保存された同型機から容易に部品が調達できること。
給水塔や転車台といった設備が走行線区に残されていること。
運行する鉄道会社にある程度の資金があること。
そして何よりも地元のSLに対する理解と協力が得られること。
他にもまだあるだろうが一般論として挙げてみた。
今回、C56-44を見事に復活させた大井川鐵道に対しては、
賞賛の声を送らずにはいられない。
そして、今後ともSLの動態保存に懸ける意気込みと、
次の世代に対する技術の伝承が行われることを期待したい。
(写真はC56形蒸気機関車44号機。2008年5月11日、大井川鐵道本線千頭駅にて撮影)