トップページに戻る

目次に戻る

2007年4月号へ進む


フォトエッセイ・2007年3月号

「復活の狼煙」

58654形蒸気機関車@JR小倉工場

日本で初めて本格的に量産された、8620形蒸気機関車。
その中の1機である58654号機が、
1度ならず2度までも復活することになろうとは、
驚くと同時に喜んだ人も大勢いらっしゃったのではなかろうか?

大正時代に生まれたこの機関車は「ハチロク」と呼ばれた。
お召列車専用機だった28661号機を始めとして、
旅客に貨物にと、その汎用性の高さから、
「鉄路あるところ、ハチロクの機影見ざるは無し」とも形容され、
多くの仲間は国鉄蒸気機関車の末期までの長きに渡り愛用された。

その後、電気やディーゼルという新しいエネルギーの登場によって、
役目を終えたハチロクは各地で静態保存されたが、
国鉄分割民営化後の1988年8月28日、
JR九州が肥薩線の矢岳駅に保存されていた58654号機を修復し、
豊肥本線の「SLあそBOY」として復活させた。

しかし、復活から17年後、
ボイラーを支える台枠の歪みによって、
満身創痍となった58654号機は惜しまれつつも、
復活した時と同じ月日、
2005年8月28日に釜の火を落とした。
大正生まれということもあり、
その時はもう完全に引退だろうと思っていた。
それだけに、「SLあそBOY」に乗る機会がなかった私は、
悔やんでも悔やみきれないくらいに後悔した。
なぜ、あの時に乗っておかなかったのだろう…と。

ところが、58654号機の釜の火は完全には落ちていなかった。
JR九州は歪んでしまった台枠を新製した上で、
急勾配区間の多い豊肥本線ではなく、
比較的勾配が緩やかで負担が少ない肥薩線の熊本〜人吉を走ることになったのだ。

復活の狼煙が上がるのは今から2年後の2009年。
再び鉄路へ戻すことを夢見て努力してきた関係者に対して敬意を表すとともに、
今度こそ、この機会を逃すまいと固く誓った。

(写真は58654形蒸気機関車。2006年10月15日、JR小倉工場にて撮影)


2007年2月号に戻る

目次に戻る

トップページに戻る