「カラカラカラカラ…」
こじんまりとしたホームに1両のディーゼルカーが停まっている。
そこから聞こえてくるアイドリングの音は、
まるで人間がレースを始める前に、落ち着こうとする息づかいのようにも思える。
もうすぐ発車時刻。
信号はすでに進行を示す青が点っている。
運転士は静かに指を指して確認した。
やがて「パタン!」と戸が閉まり、エアが抜ける。
すると今まで単調な音しか発していなかったエンジンから、
「グウォーン」という音とともに、列車はゆっくりと去っていく。
列車がいなくなり静けさを取り戻したホーム。
毎日繰り返されるこうした日常の光景。
我々はいつまで目にすることが出来るのだろうか?
行く末を知っているのか、蝉が悲しそうに鳴いているように聞こえた。
(写真は鹿島鉄道KR-500形車両・2006年8月20日、常陸小川駅にて撮影)